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東京湾周辺のさまざまな観光スポットを取材しました。

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このコーナーは、毎月1回、東京湾周辺のさまざまな観光スポットをご紹介します。
近いけれどもよく知られていない東京湾の魅力を、あなたも再発見してみてはいかがでしょうか?
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千倉町
文章・撮影 ありさかたみお
(このページの記事は、2003年11月に取材・掲載されたものです。)
定番スポット ズームアップスポット アクセス情報
─ 海に魅せられた人々の出会いで生まれた、安らぎのカフェ&ホテル
ポルトメゾン・ルームス:外観
南欧風の看板が目印
 東京は原宿、デザイナー、コピーライター、カメラマンなど多くの文化人が集ったセントラルアパート。その流行を牽引した場所で共に事務所を構えていた、当時の「ポルトメゾン」の仲川オーナーと写真家浅井慎平氏との出会いが全ての始まりとなり、生まれ育った千倉へと導くきっかけとなったのでした。

 各国を旅し、その海の光景をフィルムに収めてきた浅井慎平氏が、自身の作品を展示する「海岸美術館」をこの千倉に建設したのは、たおやかな千倉の海と風土にシンパシーを感じたことと共に、多くの仕事を共にした千倉出身の仲川さんの存在があったこともひとつの理由でした。

明るい店内
光を取り込んだ明るい店内
 仲川さんは浅井氏に指名され、1991年に開館した海岸美術館の初代ディレクターに就任。千倉での生活がまた始まりました。しかし仲川さんには、浅井氏と共に撮影で訪れたアメリカ本土の最南端フロリダのキーウェストで出会った「“海の余韻を感じる味わいのあるホテル”を千倉でやりたい」という思いを、かねてから暖めていました。3年を経てディレクター職を後進に譲り、2年の準備期間を持って念願だった海辺のカフェホテル「グランブルーイン」を海岸美術館からも程近い千倉町川口にオープンしたのは今から7年前のことでした。

客室
各部屋毎に異なるアレンジの客室
 「ジャックが来たのは偶然なんですよ」知り合いの雑誌編集者が名づけ親となりオープンした「グランブルーイン」。それが映画「グランブルー」(1988年)のモデルとなった世界的ダイバージャックマイヨール氏をほどなく呼び込み、グランブルーインに大きな変化をもたらす存在になるとは、本人にも思いもよらない新たな出会いとなったのでした。

カフェ・オレ・マイヨール
はちみつで飲む「カフェ・オレ・マイヨール」(600円)
 「この雰囲気に興味があったのでしょうね。多い年は年に20回くらい来ましたね。かれは非常にピュアな人間なので、こちらの事情なんて関係なくいろいろなアイデアを出してくるんです」。時を重ね、ブラインドの位置ひとつから指示したというジャックのアイデアを幾度となく実現させていくうち「グランブルーイン」は仲川さんがキーウェストでインスパイアを受けた“海の余韻を感じるコンセプト”が「フランス人のジャックがきたことによって完成したんです」と空間としてひとつの実を結ぶことになりました。
 
煮込みハンバーグ
冬のオススメメニュー「煮込みハンバーグ」
 そして2001年ジャック・マイヨールが他界。「彼が亡くなり色々考えて『グランブルー』の名前は彼に返そうと思ったんです」。浅井氏との出会いによって千倉に導かれ、ジャックマイヨールのバイブレーションによって磨かれた空間となった「グランブルーイン」は、また新たな出会いとして「ポルトメゾン・ルームス」という名前を与えられ次の出会いを迎えることになりました。

店長の庄司さん
「ホテルは予約がなくても大丈夫なので、気軽に立ち寄ってくださいね」店長の庄司さん
 しかしジャックとの出会いの全てを洗い流してしまったわけではありません。仲川さんは言います「『ポルト』はジャックが好きだったスペインの街。『メゾン』(家)はフランス人である彼の母国語から取ったんです」。共に作り上げた、ホスピタリティを最上のサービス価値として提供するそのスタイルに変わりはありません。カフェでゆっくりと和んだカップルが予定を変えてホテル泊まっていく光景も日常的なのだそうです。

 ワインや料理も充実した「ポルトメゾン」のカフェメニュー。いくつかの看板メニューがありますが、このカフェのストーリーに触れたいのであれば、お勧めなのがジャックマイヨールレシピのカルボナーラ。生クリームを使わない本格的カルボナーラです。しかし普通のオーダーでは出てこないいわば裏バージョンなので「ジャックマイヨールレシピで」とオーダーしましょう。房総のアイドルとして鳴らした、店長の庄司さんが絶妙の火加減で丁寧に仕上げてくれます。

イタリアンプリン
イタリアンプリン(400円)は満足のボリューム
 「僕はあくまでも裏方役です」という仲川オーナーなので、今回は本人の写真もありませんが「千倉はなにげない場所ににさりげなく本物がある街。10年後に来た人にも気持ちよくなってもらえる街づくりをしたいですね」と今は観光乱開発が行われなかったからこそできる、大人の空間としての千倉の可能性を仲川さんは考えています。

 千倉という様々な出会いが交叉する場所で生まれ育った「ポルトメゾン」の幸福な空気が包む空間をひととき共有すれば、きっと千倉の素晴らしさがもっと身近に感じられるはずです。
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ポルトメゾン・ルームスポルトメゾン・ルームス
住所:千葉県安房郡千倉町川口301
予約・お問い合わせ : TEL 0470−43−1008
URL:http://www.grand-bleu-inn.com/
 
 
― 和の“ゆらぎ”の息吹が産む、職人気質のグラスアート
グラスフィッシュの全景
「グラスフィッシュ」の全景
 自然界の生体の持つリズム“ゆらぎ”。「グラスフィッシュ」を訪れる人は、そのリズムの持つ引力に惹かれるかもしれません。千倉駅から館山方面に向かう街道を脇に外れ、田んぼの中の畦道を進んだ静かな里山の麓にグラススタジオ「グラスフィッシュ」は在りました。一度山肌を撫ぜた海風が、浜辺よりも幾分やわらかく緩やかに吹き降ります。

 倉庫のイメージで建てられた高屋根の鉄骨作りの工房は、その風の通り道に位置し流れ込んだ風が炉の熱気を逃します。こんな理想的なスタジオを作り上げ、”ゆらぎ”のあるガラス作品を生み出しているのが気鋭のガラスアーティスト大場匠さんです。

ガラスアーティストの大場匠さん
テンポとリズム。大場匠のイマジネーションが一気に成型されていく。
 東京出身の大場さんは金沢の工房で7年間修行し、理想のスタジオを建てるための場所探しに3年もの月日を費やし、めぐり合ったのがこの千倉。「見に来た時は記録的な雨だったんだけどなぜがこの場所だけ明るく見えてね」背後に丘をいだき、正面に見下ろす田んぼが広がるこの場所にスタジオが建ったのは今から3年前のことでした。

 「今になってやっと金沢が鮮明に見えるようになってきたんです」近くに在ったものが距離を置くことでクリアになる。千倉に来たことで得た感覚を大場さんは教えてくれました。「コンパスで引いたような円形のグラスもつくれますが、“ゆらぎ”の部分を楽しめる日本の美的感覚がすごくいいなと思うんです」。スタジオにある大場作品にはどれにも優雅な曲線が用いられ、そのひとつひとつが何か言葉を持っているように思えてきます。

大場さんの作品
手前 「HANA」シリーズの鉢(23,000円)
奥「ジュエリーフィッシュ」(4,200円)
 しかしそんな美術的完成度を持ちながらも彼は自らを職人の系譜だという。「金沢の先生はアーティストというより職人が多かったんです。当時はわからなかったけど、今はその職人的の気質に良さを感じています」と普段使いの器としての完成度も置き去りにしない作品作りを心がけているところも、多くのファンから支持される要素のひとつです。

 そんなガラスとの自分との関係について大場さんは「(製作中に)手に取れないガラスとは永遠に近づけない関係。そのコントロールしきれない存在にどこまで近づいていけるかをいつも考えています」と言います。そして「自分にリズムが必要なんです。ガラスの種(融けた状態の原料を巻いたもの)を自らの息で吹き、内側から膨らんで産まれるグラスには自分自身が映し出されるんです」と自らのエネルギーのゆらぎにそのグラスが共鳴する。その有機的な命を吹き込む作業の不思議な魅力が、今も作家を魅惑しつづけています。

レッスン参加者の作品
レッスン参加者の作品も、こんなにアートフル。
 1000円程度のアクセサリーから10万円クラスの大鉢まで、グラスフィッシュに並ぶ様々なグラス達を求めに各地から訪れた人は、そのグラスが共鳴する空間にしばし心を奪われます。

 そしてこの大場匠的テイストのグラスは、ビジターでもレッスン(3,500円)に参加すれば作る事ができます。「マンツーマンで教えるから大人数はできないんです」おしきせのレッスンではないので、色味、模様形などを伝えると大場さんのサポートでこんなに素敵な作品(写真)をつくることができます。ガラスを吹いた次の日には持ち帰れるので泊りがけの方ならぜひチャレンジをお勧めします。

 ガラスに囲まれて日々暮らす大場さんですが、時には向き合うテンションが下がったりすることもあるのだとか。「でも年に一回炉を止める日があるんですが、その日はすごく寂しいんです」やはり彼はガラスを愛しガラスに愛されている人のようです。
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GLASSFISH GLASSFISH
住所:千葉県安房郡千倉町北朝夷1889
TEL/FAX:0470-44-5660
URL:http://cat.zero.ad.jp/~zat76700/main/01/top.html
(このページの記事は、2003年11月に取材・掲載されたものです。)
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